グリーンランドの紹介
グリーンランドは最高だ。小さな町を一歩出れば、人も道も建物も何もない。おまけに木もないのでどこでも歩けるし、地図を見て自分がどこにいるのか迷うこともない。白夜は一日16時間の歩行を可能にしてくれる(それだけの体力があればだが)。小川がいたる所に流れており、しかもここはミネラルウォーターを買うのが世界のどこよりも馬鹿馬鹿しい場所である。トレッカーにとってはまさに天国である。
グリーンランドはどんな所かと聞かれると、私は必ず「目を開けば数千もの氷山と数百万もの蚊が見えるところだ」と答えることにしている。確かに腰を下ろすや否や顔中に群がってくる蚊にはうんざりさせられるが、夕暮れ時にフィヨルドに静かに浮かぶ無数の氷山を眺めれば、その日一日歩いた疲れなど軽く吹っ飛ぶというものだ。
グリーンランド旅行に最も必要なのは「時間」である。町と町を結ぶ定期船はせいぜい週2、3便。氷のコンディション不良による結構はしょっちゅうだ。トレックの選択は無数にあり、体力さえあれば南グリーンランドだけでひと夏全てを簡単に費やせる。
グリーンランドのもう一つの切札は「人」である。イヌイットの人々はこの上なくフレンドリーで、食べ物でも何でも惜しみなく分け与えてくれる。おまけに我々の外見が彼らとそっくりなこともあって、あなたはどこに行っても彼らのアイドルである。旅の醍醐味を味わいたい人は次の夏にでもどうぞ。
96グリーンランドに戻る