4/22 レグ2スタート




↑ゾンデ放球台の底に残る雪








↑3研の隅で眠る学生

10時釧路出港。港を出た途端に大きく揺れ、机の上から物が多数転げ落ちます。レグ1で観測した渦を早く再観測したいところですが、うねりが大きくなかなか速力が出ません。14時からゾンデ観測スタート、15時からはティータイム。釧路の思い出話に花が咲きました。

みんなに挙げてもらった「釧路で楽しんだこと」
23:45 XCTD観測スタート。渦の構造を捉えるために1本45000円のXCTDを5マイル間隔でがんがん投入していきます。

4/23 渦観測&グライダー投入


↑陸上の支援部隊と衛星電話でやりとりしながら投入準備


↑アイドル並の人気のグライダー






↑海面ドリフター

南南東方向に移動しながら朝までXCTDを打ち続けましたが、どうやら渦の中心よりも少し北東側を通過した模様。渦はこの5日の間に南に動いてしまったようです。XCTD観測結果と急遽陸上の研究仲間に送ってもらった衛星海面水温画像を見ながら、南西方向に移動。うまいこと渦の中心部を探り当て、10時半からCTD(2000m)・FRRF・CTD(200m)・MSP・VMPSのフルセット。皆さん作業が異様に早く、5時間で完了。さらにここで、海面ドリフターとグライダーを投入。グライダーの投入は白鳳丸初ということもあり、船の人たちも盛り上がっていました。

投入後、北西に向かいつつ、船の海面水温・塩分モニターとにらめっこ。今度は渦の端(水温・塩分の値が急激に水平変化する場所)を探り当て、19時半から本日2回目のフルセット、プラス、鋤柄さんの培養実験用のCTD(200m)で溶存酸素ビン50本採水(通称「50本ノック」)。リミットの深夜1時をちょっと超えたところで何とか終了。これで本航海の観測の最低限のノルマがほぼ達成されました。

明後日またもや低気圧2つが来て荒れそうなため、これから釧路に戻り、夕方再び着岸予定です。

4/24 再び釧路入港

昨晩4-8、8-0、0-4の飲み会がコラボし、朝まで大盛り上がりだったようで、その反動か今日は3研も非常に静か。16時に2日ぶりに釧路入港。雨(低気圧から逃げてきているんだから、当然ですね)の中、学生たちはさっそく夕食のため、街へ。それでも、20時には全員帰宅。と思いきや、21時にアラフィフ3人組が雨足が強まる中、夜の街へ。さすが。

本航海中は仕事と揺れのために4時間以上連続して眠ったことがないため、今晩は久々にゆっくり寝ようと思っています。

4/25 オフ

昼過ぎまで風が非常に強く、これは避難も仕方ないかなと諦められる天候。それでも朝から晴れたので、前回寄港時の学生たちに触発され、大人たちも次々と遠出の観光に出かけていました。行先は阿寒湖、摩周湖、厚岸、霧多布、納沙布岬など。極めつけは札幌まで列車で往復8時間かけて「ラーメン二郎」に行った同僚のT田君。これで全国39店舗中37店舗目制覇だそうで、ご苦労様です。

グライダーは順調に観測、航行を続けている模様。

4/26 最後の観測に出発


↑4-8班ワッチ後飲み会


↑明日の海況予報と測点位置。嗚呼…。

10時釧路出港。これまで観測を行ってきた渦を吸収しつつある隣りの渦を目指してひたすら南下。17時よりXCTD観測開始。渦の中心付近にとった測点に24時過ぎに到着予定。明日の朝、3日前に投入し、ここまでCTD観測をしながら航行してきたグライダーを回収予定ですが、ダメ押しの低気圧が来る予報で、時間との勝負です。

4/27 グライダー無事回収、即避難










↑グライダーの4日間の航跡




↑レグ2ここまでの航跡

00時過ぎ、測点C018到着。CTD(2000m)→FRRF→CTD(200m)→MSP→VMPSのフルセット。ときおり雷が光る中、てきぱきと観測を進めました。05時前、それまで浮き沈みしながら観測を続けていたグライダーが3マイル離れた地点に浮上。海面に浮いたままにさせ、回収に向かいました。ほどなく見つけ、船の人が手際よく回収。白鳳丸での初グライダー観測も無事終了しました。

その後は西に向かって一目散に航走。見る見る間に風が強まり、08時半には風速22m/sに。測点では「もう少し観測できませんか」「無理です」といった船側とのやりとりもありましたが、船長判断はやはり正しかった。。。

19時岩手沿岸に到着。ここから南に下りて行きますが、低気圧を避けて早めに陸側に戻ってきたため、予想以上に多くの時間が余りました。転んでもタダでは起きない研究者、残された時間で何ができるのか、これから酒を飲みながら検討です。

4/28 黒潮続流横断観測


↑VMPSネット干し




↑XCTDの中身(プローブ)


↑XCTDプローブぶん投げ投入


↑船底ADCP(超音波流速計)による流速分布。黒潮続流をばっちり横断

昨日、20時間余ったシップタイムをどう使うか、みんなで議論した結果、黒潮続流の横断観測を行うことに決定。衛星海面高度データと衛星海面水温データを元に急遽測点位置を決めました。昨晩は全体飲み会のあと、ついにカラオケ班が始動。S賀班長のもと、朝方まで大いに盛り上がったようです。

07時茨城沖の測点C019に到着。快晴。風が多少強いものの気温12℃で、亜寒帯に慣れた身には非常に暖かく感じます。ここから黒潮続流を岸側から沖側に向けて横断、10マイルごとに1000mまでのCTD・採水とMSPを行いました。2時間観測しては1時間移動の繰り返しで、移動中には塩分検定、酸素滴定のほか、中間地点でXCTD、測点到着時と離脱時にはゾンデ放球と、ワッチ班+ワッチ外メンバーがフル稼働で作業を行っていきます。観測未経験で乗った学生も今や立派なOceanographer。手慣れた動作でてきぱきと観測を進めてくれました。

午後になると風も落ち、4/14以来の好天に。黒潮続流の流軸付近まで来ると海面水温19℃、気温16℃。暖かい。。。

23時半。本日6つ目の測点C024が終わり、ハードな1日&本航海の海洋観測が終了。あとは翌朝までゾンデを数発上げるだけ。

4/29 観測終了





07時半までゾンデを上げ、全ての観測を終了。ここまで行ったのは、CTD 45キャスト、XCTD 148回、ゾンデ120回、MSP 22回、FRRF 18回、VMPS 7キャスト、採水は無数、そして低気圧の襲来が8回。度重なる悪天候にめげず、みんな実によく働いてくれました。

今朝の02時半から07時半までは水深8100mの日本海溝上で、乗組員がCTDワイヤーのよりとり。ワイヤーに重りをつけて深さ7000mまで繰り出し、しばらく放っておくだけですが、学生たちにとっては待ちに待ったカップヌードル容器つぶしのチャンス。700気圧の深海に沈めると、見事3分の1くらいの大きさになって戻ってきました。

今日からは日本の南岸を西に向かって航行。普通は晴海に戻るところですが、今回は航海終了後すぐ船がドックに入るため、明後日三菱重工下関造船所に入港します。

4/30 後片づけ


↑船上セミナー


↑雨ニモ負ケズ、濡レタ甲板ニモ負ケズ


↑レグ2記念撮影


↑打ち上げ終了後

小雨模様の中、日本の南岸をひたすら西に向かって航行、船内では撤収作業が進みます。合間にはセミナー、サッカーも。夜は打ち上げを行いました。楽しかった航海も、あと1日です。

5/1 航海終了








↑関門橋


↑巌流島



未明に四国と九州の間の豊後水道に入り、下関を目指して北上。船内では朝から片づけ作業が進みます。関門橋をくぐり、巌流島の横を通り、10時半三菱下関造船所に入港しました。隣りにはJAMSTECの「みらい」が。11時20分、最後の昼食は下船日定番のカレー。14時には白鳳丸の兄貴分にあたる淡青丸の後継船、新青丸(建造中)がドック内の他の場所からタグボートに押され、横を通過。歓声が上がりました(ドック内撮影禁止のため、写真でお見せできないのが残念です)。

14時半から研究機材の積み下ろし。普段の港と異なり、高さ100mはあろうかというドックのクレーンを使って荷物が搬出されていきます(クレーンをずっと見上げていたせいか、首が痛くなってしまいました)。3時間ほどかかり、無事作業終了。幸運なことに、急遽新青丸の見学ツアーを組んでもらえ、作業と並行して3組に分かれて見学させてもらいました。最新鋭のメカ満載の新青丸のブリッジはまるで宇宙戦艦の操縦室のようです。

これで1か月間続いた航海も無事終了。今夜は全員下関に泊まり、明日帰路に着きます。今夜は学生たちは学生飲み会、おじさんたちは多くのメンバーの師匠である竹内謙介さんと水産大・滝川さんを囲んで懇親会です。

航海自体は成功裏に終わったものの、登山に例えればこれは5合目。これからデータをまとめ、それを使って論文を書くという大事な後半戦が待っています。本航海で培われた人間関係がフル活用されて今後の研究が進むよう、主席研究員として切に願っています。

それでは1ヶ月間本ブログにお付き合い頂き、ありがとうございました。


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